幸せな老後を迎えるには、50代の過ごし方が鍵を握る――。米ハーバード大学は85年以上、約2600人の「人生の追跡調査」で幸福度を探る研究を続けています。現在、研究を担うロバート・ウォールディンガー教授(精神医学)が来日中の4月に朝日新聞の取材に応じ、人生の後半を幸せに過ごすためのヒントを語ってくれました。(聞き手=編集委員・森下香枝)
――ハーバード大学が1938年からやっている「成人発達研究」について教えてください。
ハーバード大の卒業生を含め、貧困層から富裕層、子どもから大人まで幅広く調査しています。対象者には約2年ごとに生活状況などを聞く質問票を送り、5年ごとに健康診断のデータを集め、約10年ごとに対面で幸福度などをヒアリングしています。さらにその配偶者、子どもなど3世代へと調査が広がり、今では約2600人が対象になっています。こうした追跡調査は前例がなく、史上最長です。
ウェルビーイング(心身の健康や幸福)は、いったい、何によってもたらされるのでしょうか。85年にわたる調査が導いた結論とは
――調査で何がわかりました…